研究課題/領域番号 |
10610011
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
丹治 信春 東京都立大学, 人文学部, 教授 (20112469)
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研究分担者 |
岡本 賢吾 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (00224072)
神崎 繁 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (20153025)
野本 和幸 東京都立大学, 人文学部, 教授 (70007714)
篠原 成彦 信州大学, 人文学部, 助教授 (60295459)
石川 求 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (80192483)
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キーワード | 自然主義 / 観察なき知識 / ラッセルのパラドクス / 可能性 / 信念 / アンスコーム / フレーゲ / ケント翻訳の不確定性 |
研究概要 |
今年度は、三年間の研究の締めくくりとして、これまで蓄積した内容を各自で取りまとめ、研究会の場でその検討・批判を行い、研究成果報告書その他の形で公表した。 すなわち、まず篠原は、心の自然化の追求の一環として、自己知、とりわけアンスコーム的な「観察なき知識」について自然主義的観点からの分析・説明を与える方途を追求した(研究成果報告書「観察なき知識について」)。野本は、ラッセルのパラドクス、フレーゲ的アブストラクションをめぐる最新の研究成果を織り込みつつ、論理学・数学の哲学の諸問題にまで考察を広げながら、フレーゲとラッセルを超える新たな意味理論の可能性を探っている(同「抽象的存在とパラドクス―フレーゲの場合」)。石川は、ライプニッツ、ヴォルフ派からカントへの流れを主題に取りつつ、可能性、現実性、潜在性といった様相概念の再吟味を行うことで、自然主義の今後の課題を明らかにした(同「規定の闇へ」)。丹治は、自然主義、とりわけ反・心理主義の観点からストレートに信念や命題の概念に挑戦し、心の自然化が経てゆくべき理論的進展の階梯を描きながら、今後の方向性に一つの明確な指針を与えている(同「自然主義的言語観をめぐって」)。 また神崎は、道徳的実在論についての多年に亙る検討を踏まえながら、自然主義に対するその関わりについて独自の観点から追求した考察を準備している。岡本は、論理的・数学的な知識の形成可能性と、その実際の形成プロセスとを、形式言語の創出・展開という観点から分析・説明する可能性を追求し、自然主義的知識論との関連を明らかにしようと努めている(論文近刊)。
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