本年度は、『ジュニャーネーシュワリー』13-18章(全体のほぼ半分以上に相当する4828オーヴィーを含んでいるおり、バクティについて最も詳細に説かれている箇所だという点でも、最も重要な箇所である)のうち、15-16章の解読を行った。その際に、以下の三点の重要性に気づくにいった。 まず一つは、インドの聖者としてのジュニャーナデーヴの姿である。ただし、過去の聖者については直接調査ができないので、二人の現代インドの聖者の姿について調査研究を行った。その成果が、「ゴーエンカーとヴィパッサナー瞑想法」と「サンガラクシタとユーロ・ブディズムの成立」である。 次に第二は、これまでの研究成果の刊行の必要性である。そのため、これまでの和訳研究を整理して。まず、「『ジュニャーネーシュヴァリー』和訳(第一章)」として出版した。この翻訳出版は今後も継続される予定である。 第三は、『ジュニャーネーシュワリー』にたいするタントリズムを影響である。そこで、そのような観点からのジュニャーナデーヴ研究として優れている研究書の書評を行うことにした。その成果が、「書評:Catharina Kiehnle著Jnanadev Studies I-III」である。 さらに、例年通り、パクティ研究会を主催し、バクティ運動の展開のうち『ジュニャーネーシュワリー』以降の北インドにおけるサンスクリット語文献と中古ヒンディー語文献に見られる展開について議論を行った。
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