本年度は、『ジュニャーネーシュワリー』13-18章(全体のほぼ半分以上に相当する4828オーヴィーを含んでいるおり、バクティについて最も詳細に説かれている箇所だという点でも、最も重要な箇所である)のうち、17-18章の解読を行った。その際に、以下の三点の重要性に気づくにいった。 まず一つは、インドの聖者としてのジュニャーナデーヴの姿である。そのため、インドの聖者の特質一般をまず明らかにするために、『聖者たちのインド』を出版した。 次に第二は、これまでの研究成果の刊行の必要性である。そのため、これまでの和訳研究を整理して、まず、「『ジュニャーネーシュヴァリー』和訳(第二章)」として出版した。この翻訳出版は今後も継続される予定である。 第三は、『ジュニャーネーシュワリー』にたいするタントリズムと不二一元論の影響と、それを理解するためのタントリズムと不二一元論の理解の必要性である。そのような理解の成果が、「クラ派の南の伝承におけるシュリー・チャクラの構造」と"On Pratibimbavada and Avacchedavada in Advaitavedanta"である。 さらに、例年通り、バクティ研究会を主催し、バクティ運動の展開のうち『ジュニャーネーシュワリー』以降の東インドにおけるサンスクリット語文献と中古ヒンディー語文献に見られる展開について議論を行った。
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