研究課題「天台大師智〓と嘉祥大師吉蔵の法華経観の比較研究」を進めるために、まず吉蔵の最後の法華経疏である『法華統略』の研究に取り組んだ。とくに真福寺宝生院(名古屋市中区大須2-21-47)に所蔵される吉蔵(549-623)『法華統略』の写本の調査を行なった。真福寺本は、現存する諸写本のなかで最も良質なものなので、この原文の翻刻と訳注研究を進めている。また、原文を電子資料(データベース)として残す予定なので、その入力を行なっている。 次に、智〓(537-598)に関する研究としては、彼の法華経観を解明するために重要な教判概念である蔵教・通教・別教・円教の「化法の四教」について考察するために、『維摩経玄疏』『四教義』の研究を進めて、論文を発表する予定である(1999年3月刊行予定)。また、「智〓は果たして法華経至上主義者か」という論文を準備中であり、これは吉蔵の法華経観と智〓の法華経観とを比較する内容となるものである。 また、研究課題に関して、中国の北京市在住の仏教学者の指導を受けた。
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