研究課題/領域番号 |
10610026
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹沢 尚一郎 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (10183063)
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研究分担者 |
関 一敏 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 助教授 (50179321)
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キーワード | 祭り / 都市祭礼 / 宗教と生業 / 共同社会 / 村おこし / 宗教と身体性 / 宗教人類学 / 宗教社会学 |
研究概要 |
平成10年度から11年度にかけて、大学院生と共に、都市祭礼として博多祇園山笠、博多松ばやし、山村祭礼として宮崎県椎葉神楽、銀鏡神楽を選択し、フィールド調査を踏まえながら研究した。都市祭礼については、江戸時代からの文献を参照することで、博多の祭りが江戸以来数度の祭り存続に危機に瀕し、そのたびに祭りの形態を変えながら存続してきたこと、にもかかわらず、祭りの言説は不変との神話を維持していることを明らかにした。また、祭りは、それを支える地元住民のあいだに様々な対立を含みながら、その対立を乗り越えて共同性を作り上げる装置であるが、その共同性が、祭りの基本単位となる町、流、都市の順に拡大していくよう作られていることを実証した。 山村の祭りについては、住民のあいだの共同性維持の機能のほかに、農業や狩猟などの生業と密接に関係しながら存在してきたことを明らかにした。こうした関係性は宗教が本来備えていたものであるが、それが近年の産業の変化の中で欠落させてきたこと、しかしその一方で、住民のあいだの共同性の維持装置としての機能は強化され、とくに山村の過疎化が進行する中で、外部社会と不断の接触にさらされることで脅かされている住民のアイデンティティを保護し、強化するという新たな機能をつけ加えながら、祭りはより盛大に存続されていることが明らかにされた。以上の成果については、平成10年度中に都市祭礼の研究報告書がすでに出版されており、平成11年度中に山村の祭りの研究報告書が出版される予定である。
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