より良い画像データの入力と資料保存のために、システム実体顕微鏡、顕微鏡デジタルスチールカメラ、カラーモニタ、ダブルアームファイバー照明装置の機材を整えた。 この結果、繊維・織物組織など顕微鏡撮影現像の時間と費用の手間を省くことができ、またより詳細なそして豊富な資料の保存を始めることができた。 初年度であったが、久米島の神女衣裳に関連する新着資料が届き、現存する植物繊維のうち、苧麻繊維織物資料としては、最も細く緻密に織られたものであり、今後沖縄の織物文化の高さが証明できよう。 対象資料のうち、木綿についてはその判定資料に間違いはあまりないが、絹や芭焦・苧麻については原材料にかなりの手が加わっているため、判別がむつかしい。この作業を続けることで、より客観的な判定をする手掛かりの作業がやっと始まった。このことは幻の繊維といわれているトンビャン(桐板)という繊維の解明にも役立つ。また、作業をする中で、染色された絣織物の他に、顔料で着彩された絣織物資料も映像で確認することが出来、繊維材料に加えて、技法についても総合的な研究にも役立っている。 本年は、脆化した染織資料の顕微鏡映像の入力を行っている。現物資料の入力が、写真からの入力に比べて、短時間で様々な部分のデータを撮ることができた。今後は、写真の資料に加えて、現物資料を沖縄県立博物館始め各資料館から許可が出次第、現物から直接資料データの撮影と保存を平成11・12年度も続けて行っていく計画である。
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