本11年度は、10年度の資料入力作業を継続して行なった。写真のスキャナーでの取込みに鮮明さが十分でないため、また実物資料を本研究室に借用する制限と、画像入力する限界のため、現地で処理できるデジタルカメラの購入を行なった。本研究は当初繊維の鑑定データに役立つ基礎資料と計画していたが、琉球の服飾形態の特徴、紅型と色絣の技法についても新たな発見があった。衣裳の採寸について現在の仕立とは異なる手度法という物差を使わない染織資料がほとんどであることがわかった。したがって本年度は衣裳の採寸調査も同時に行なった。花織の製織技法についても技法解明の資料を入手した。また、未発表の個人資料も調査できた。芭焦繊維は糸の太さで製糸方法が異なることがわかった。従来芭焦の成育環境と部位の違いと言われていた。 限られた期間ではあるが、大いに成果があった。12年度はこれらのことを成果報告できるよう個人所蔵家の資料公開条件の了解を求め、追加現地調査を行ない、沖縄染織文化のデータをまとめたい。
|