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1998 年度 実績報告書

明治期日本の美学と芸術研究

研究課題

研究課題/領域番号 10610051
研究機関関西学院大学

研究代表者

加藤 哲弘  関西学院大学, 文学部, 教授 (60152724)

キーワード日本の近代美学 / 西周 / 美妙学説 / フェノロサ / 美術真説 / 美術文化政策 / 西欧近代美術の受容
研究概要

初年度の研究の最大の課題は、今後の研究計画遂行のための土台づくりをすることにあった。そのためにまず取組んだのは、基本的な著作や関係文献の調査と収集である。幸いなことに、現有設備や近隣の大学図書館、公立図書館に当時の資料がかなり残されていたため、本年度は比較的容易に研究を進めることができた。とくに西周については、彼が思い描いていたaesthetics (善美学、佳趣論、美妙学)の具体的な内実(古典主義的な美意識にもとづく体系的な芸術哲学)をテキストに即して解明しただけではなく、御前講義(『美妙学説』)で彼が啓蒙的な君主像を意識して、西欧の君主たちがとってきたような芸術文化振興政策の実現を明治天皇に示唆していたことも確認することができた。ただし、これらの収集資料の内容のより詳細で批判的な分析は、今後の課題として残されている。また、本年度に重点を置いたのは明治の初年度のものであり、その後の多くの資料の調査と購入については次年度以降に持ち越される。このような事情もあり、本年度の設備備品費は、おもに収集資料を分析するための参照文献の購入に当てられた。また、国立西洋美術館や国立文化財研究所への出張は、おもに資料調査や関係者との意見交換や情報交換のためのものである。
さらに、本年度は、平成10年9月1日から5日までスロベニアのリュブリャーナで開催された国際美学会に参加し、″E.F.Fenollosa and the Importation of Aesthetics into Japan″という題目で研究成果の発表を行った。ここで明らかにしたのは、「日本近代美学の政治的役割」、とくに1882年に高級官僚たちを前になされたフェノロサの講演『美術真説』が理念として当時の明治政府の文化政策に及ぼした多様な影響についてである。この機会に得られた多くの意見や情報を今後の研究にも生かしていきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Tetsuhiro KATO: "E.F.Fenollose and the Importation of Aesthetics into Japan" 美学論究. 14. 13-22 (1999)

  • [文献書誌] 東京国立文化財研究所(分担執筆): "今、日本の美術史学をふりかえる(近代日本における美学と美術史学)" 平凡社(3月刊行予定), (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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