研究概要 |
「ヴェズレーのナルテックス扉口の復元」プロジェクトを遂行するためには、1)現地でのフィールド・ワーク(考古学的観察、彫刻様式の比較、測量、撮影、石質分析)、2) フランスの古文書館および歴史古建築物研究所における修復記録の参考、3)研究論文の精読 といった基本的な研究調査がまず必要である。今年度は1),2),3),を平行して進めたが、フィールド・ワークに費やせる時間は限られていた。彫刻様式の分析はBildarchive Foto Marburg im kunstgeschichitlichen Instituteより購入した写真をもとに進めている。石質分析はMonuments Historiquesの調査ラボラトリーの主任研究員であるDr.Blancに分析方法を相談した。氏はニュートロン分析(Neutlon.AnaIysis)を提案しているが、この方法は非常に費用がかかる。もしこの方法で実際行うとなれば、米国の国際中世美術センター(International Center of MedieVal Art)との共同調査の可能性を考える必要がある。2)の修復記録文書はArchivesdeparte mentales d'Yonne,AuxerreとCentre de Recherches sur lesMonuments Historiques,Parisでヴィオレ・ル・デュクの作成した文書を予備調査した。科研基盤研究では現地調査が許されていないため、この一年は3)研究論文の精読が中心となった。ヴェズレーの基本史料である「年代記」 (Hugh of Poitiers,The Vizelay Chronjcle,1992)とK.Sazamaのヴェズレーに関する博士論文(Northwestem Univ.1995)をはじめ、数多く出された論文の方法論と未解決の問題点を整理している。
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