研究概要 |
移動式並列型動物実験システムを開発し(実森・牧野,1999)、前年度は1)ヒトの合成顔画像のカテゴリー弁別におけるプロトタイプ効果(牧野・実森,2000)、2)刺激等価性(投稿準備中)、3)推移的推論の研究を行った。本年度は前年度の研究成果に基づいて、刺激等価性をめぐる2つの実験(実験1、実験2)をハトで行った。また事物の異同弁別についての比較認知研究の可能性を探るため、聴覚刺激を用いた場合(金森・須藤,2000)と3次元的に回転する円と楕円の弁別についてヒトでの実験を行い、同様の比較研究をハトで行える可能性が示唆された。 ハトでの刺激等価性の実験1では、人の顔の画像合成をコンピュータで行って刺激カテゴリーを形成した。顔Xと他の顔(A,B,C)をそれぞれ50%ずつ合成して顔XA,XB,XCを作成した(カテゴリーX)。同様にしてYD,YE,YF(カテゴリーY)を作成し、移動式並列型動物実験システムでXA=XB(YD=YE)とXB=XC(YE=YF)の機能的等価性訓練をおこなった。その結果、XA=XC(YD=YF)の新しい関係が創発された。実験2では、相互に類似していないXとA,B,C(YとD,E,F)の間にも等価な関係の創発が見られた。このことから、家族的類似性をもつカテゴリー{A,B,C,X,XA,XB,XC}と{D,E,F,Y,YD,YE,YF}では、そのいくつかの成員間で等価関係を訓練しただけでその関係が他の成員にも波及し、カテゴリーが容易に形成されることが確かめられた(動物心理学会、基礎心理学会にて発表予定)。
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