研究概要 |
新型ハト用MPP(multistimulus,portable,and programmable)パネルを開発し、完成したパネルを用いて行動的および数理的な比較認知研究を行った。 1.新型ハト用MPP(multistimulus,portable,and programmable)パネルの開発 MPPパネルには、1)被験体が常時いるホームケージで複数個体同時に実験を行える、2)実験によるストレスがほとんどない、3)自然場面におけるハトの摂食行動と類似した形で行動実験ができる、4)一日で約1,000回程度の強化試行を行える、5)きわめて学習が早い、などの特徴がある。新型パネルの開発にあたっては、動作の信頼性を上げる、液晶モニター上に刺激画像をコンピュータ制御で呈示できるようにする、2キーの同時弁別と1キーの継時弁別の両方で使用可能にして、汎用性を高める、などの改良が加えられた。 2.行動的比較認知研究 完成したパネルを用いて、視覚的カテゴリー学習をめぐる行動的研究を行った。Morphingによる人の顔の画像合成を行って、家族的類似性をもった視覚的カテゴリーを構成した。その結果、ヒトと同様の中心化傾向によるプロトタイプ効果がハトでも見い出された。また、同様の画像合成によって作成された異なった刺激間に機能的等価関係が推移的に発現することが実証された。 3.数理的学習モデルの検討 「推理的推論」と呼ばれる行動的現象を数理的学習モデルでシミュレーションした。行動的実験結果は、高度な認知的処理が要求される「推論」というよりは、むしろ単純な学習モデルで記述できることが明らかになった。
|