研究概要 |
本研究の目的は、視覚系,前庭系,筋運動感覚系の情報の統合による身体イメージの成立と対象の空間定位の解明と,それらが習熟した手肢動作の蓮勤の制御にどのように組み込まれているかを明らかにすることである.環境世界の中に、自己とその身体を確固として定位していることが,認知と行動には不可欠であるが,外界を検知する系と自己の身体各部の姿勢や運動を検知する系との統合過程を明らかにすることが,まず,必要である.そこで,視覚系,前庭系,筋運動感覚系の情報の統合による身体イメージの成立と対象の空面定位についての文献的研究を行った.その成果は, 「神戸大学文学部50周年記念論集」に「知覚-運動の機構とその身体的基盤」というタイトルで掲載される予定である. 本年度行った実験的研究は以下のとうりである. 平衡機能検査の一つとして耳鼻科で用いられている回転刺激のような前庭系からの信号は,視対象の見かけの運動を生んだり、空間定位を誤らせたりするが,回転刺激の効果がどの程度持続し,どのような経過で収束していくかを実験的に確認し,両者の関係について時系列的分析法を用いて解析した.その結果,見かけの運動と空間定位の誤の収束の仕方が異なることが明らかになった.この結果は日本心理学会第62回大会にて発表した. 前庭系への刺激の視覚へ及ぼす効果が,全て眼球振盪のためでないことを確認するために,バッテリー駆動可能なコンピューターと眼球振盪計測装置を購入し,システムに組み込みを行った.現在,動作テストを実行中である.
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