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1998 年度 実績報告書

身体動作と呼吸、気分状態の関連性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10610086
研究機関早稲田大学

研究代表者

春木 豊  早稲田大学, 人間科学部, 教授 (80063551)

キーワード手の動作 / 気分状態 / 抑うつ / 呼吸 / 心身問題
研究概要

本年度は、まず、手を左右に反復開閉する動作と気分状態との相関関係について再分析を行った。その結果、気分状態がポジティブであったものは、手の動作の速度が相対的に遅く、動作の速度変化が相対的に規則的になっていた。これらの動作と最も関連が大きかったのは、抑うつ気分状態であったことが改めて明らかとなった。
さらに、抑うつ気分状態が実験場面で高かった被験者のうち、動作を行うことが心地よいと感じた者と、動作を行っても心地よくなかったと感じた者との比較検討を行った。その結果、動作の速度変化が相対的に不規則であったのは、動作を行っても心地よくなかったと感じた被験者の群のみであった。斎藤・鈴木・新原・春木(1997)は、抑うつ気分状態が高かった被験者の動作の速度変化を規則的にするように操作し、抑うつ気分状態が低下したと報告している。従って、動作を行うことで心地よいと感じられるならば、抑うつ気分状態が改善していくことが推測される。例えば、太極拳や気功法などの東洋的な行法は心身の健康の維持・増進に効果的だといわれるが、われわれの研究結果はこのことを実証的に支持したといえる。
次に、動作と呼吸の組み合わせ・対応関係について分析を行った。まず、手を上下に反復させる動作、および左右に反復させる動作と呼吸の組み合わせについて、分析を行った。その結果、手の動作と呼吸との間には適切な対応関係があることが明らかとなった。また、手を左右に開閉する動作と呼吸との対応に抑うつ気分状態が関与していることも明らかとなった。これは、動作速度の時系列データと呼吸曲線の時系列データとの相互相関関数を算出した結果、高うつ群では、動作と呼吸が対応していなかったのに対し、低うつ群では、動作と呼吸とが対応して変動していたことによるものである。このメカニズムの解明は、今後の検討課題である。
今後は、リラクセーションを行った時の動作の変化について検討したい。さらに、動作と気分状態の関連性について、カオス時系列解析を応用することで一元的に記述していくことを検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 山口創・鈴木平・竹内成生・春木豊: "動作と呼吸の関連に関する基礎的研究(I)-手の左右開閉の動作について-" ヒューマン サイエンス. Vol.11・no.1. 21-26 (1998)

  • [文献書誌] 古川志帆子・鈴木平・山口創・春木豊: "動作と呼吸の関連に関する基礎的研究(II)-手の上下動の動作について-" ヒューマン サイエンス. Vol.11・no.1. 27-33 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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