研究概要 |
近年,日本女性の雇用は就労年数が長期化し,雇用形態も多様化している.なかでも,若年男性と並んで,若年女性の労働市場への参入・退出(転職・退職)のタイミングや仕事キャリアのパターンの多様化が顕著である.本研究の目的は,若年女性の就労意識が実際の就労経験によってどのように変化するのか,さらに,同一組織で就労継続するかあるいは転職するかのキャリア選択がどのようなデモグラフィック要因・職場環境要因・心理学的要因によって規定されるのかを2度の調査による縦断的研究によって明らかにすることである.そこで,調査票作成の準備として,まず女性の就労に関わる研究資料を多方面から求めた. 資料の内容を分析した結果,日本女性のキャリアに関する研究は,1.実態調査報告が多く,2.主に横断的研究が行われ,縦断的研究はまれであり,3.デモグラフィック要因の研究が中心で,4.就労の心理的側面の定量的研究のテーマはストレス,メンタルヘルスなど少数に限定される,などの問題点が明らかになった. 上記の各問題点を考慮し,本年度には,縦断的研究の第1回調査を行うため,東北大学文学部4年生を対象に若年女性の就労意識およびキャリア選択を規定する内的要因(心理学的要因)に関する予備的な質問紙調査を行った.主な設問の内容は以下の通りである. 1.就労意識(理想の昇進パターン,就労意欲レベル),2.性役割観と職業観の関係(理想の仕事キャリア・パターン),3.性役割態度における男女平等志向性レベル,4.デモグラフィック変数 これらの分析結果から,本調査で使用する設問の内容を決定した.
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