研究概要 |
保育園では午後に約90分間の昼寝の日課がある。これに対して幼稚園児では午後の昼寝は本人の自然な欲求に基づいてとられている。実際,幼児期の昼寝の発達パターンを比較すると,保育園児で昼寝の平均持続時間および回数が多い(坂下と福田,1995)。また,午後の長い昼寝の習慣は,夜間睡眠の就床時刻を遅らせ,さらに寝起きの悪さや午前中の機嫌の悪さと関連している可能性が示唆されている(Fukuda,1999)。では,このような幼児期の睡眠パターンは,児童期の睡眠パターンに影響を与えるのであろうか。昨年度に引き続き,保育園と幼稚園のそれぞれに通園していた児童を対象に,現在の睡眠パターン等について追跡調査を行った。調査対象児童数は,昨年とほぼ同様ではあるが,対象児童の学年が1学年繰り上がっているため,4年生のデータが追加されたことと,2年生と3年生の延べ人数が増加した点が昨年度と異なる点である。その結果,小学校1年生において元保育園児で就床時刻が有意に遅く,睡眠時間が有意に短いという幼児期の特徴が持続していた。また,2,3年においては,有意ではなかったが,元保育園児で就床時刻が遅く睡眠時間が短いという傾向が持続し,4年生になって就床時刻はほぼ同一の値をとったが,睡眠時間は依然として保育園児で短い傾向がわずかながら認められた。以上から,幼児期の睡眠パターンは,小学校に進学した後も約3年間は,その影響が持続する可能性があると考えられた。
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