研究概要 |
平成7年度より、文部省は「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」を開始し、またその後、各都道府県及び市町村も独自のスクールカウンセリング・システム(SCS)の導入を始めている。本研究は、なんらかのSCSを導入することにより、学校コミュニティにどのような効果が表れるかを定量的に分析するとともに、より効果的・効率的なSCSのあり方を探ることを目的としている。そこでの仮説は、“クリニカル・モデル"の“個"志向アプローチを基本とするSCSよりも、教職員援助や社会資源の相互連携促進を中心活動とする“コミュニティ"志向アプローチのSCSの方が、より効果的・効率的であろう、である。 その趣旨のもと、研究初年度にあたる平成10年度においては、研究枠組み・デザインの確定とそれに基づく調査票の作成を行い、対象校の選定を行なった。調査票に盛り込まれている分析項目の概要は以下の通りである。 1. SCS Input Index 配置されたスクールカウンセラー(SC)の属性変数,SCのSCSに対する志向性,SCの勤務態様・給与,相談室設置・維持経費,SCの実践活動内容,学校側のSCSに対する導入前イメージ等 2. SCS Output Index 不登校生徒数,通級学級通級生徒数,保健室・相談室登校生徒数,問題行動発生件数,心身健康尺度(生徒・教師・保護者対象),学校に対する満足度(生徒・保護者),教師のモラール・負担感,SC及びSCSに対する認知(生徒・教師・保護者),学校教育相談システムの充実度,学校行事の活性度,地域資源の活用度・連携度など 以上の調査票を用いて、SCS導入前調査・モニタリング・SCS導入後調査・介入研究の本調査が平成11年度より実施される。
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