研究概要 |
学校教育において担任制は基本的教育課題である.というのは,学級は児童・生徒の生活と学習の場という二つの機能を担っているが,それを円滑に果たすのがクラスにおける教師とのかかわりによるからである.筆者は過去3年間の基盤研究「クラス担任制の教育心理学的研究」で,小学校のクラス担任制を分析してきた.今回の研究では義務教育全般にわたる担任制の実際をトータルに分析することとした.初めに,いくつかの地域の中学校の教師を被験者にして,個々の中学校におけるクラス担任制と教科担任制の実際を調査した.すなわち,クラス担任の異動の実態と教科担任の異動の実際をヒアリングや調査によって分析したのである.そこで明らかになったことは,一口にいえば,共通性よりも学校によって差異が大きいということである.加えて,学校における教員構成が差異をもたらす大きな要因となっていると考えられた.次は地域によっては小学校のクラス担任制が長期にわたって継続されるケースを分析した.もう一つの本年度のテーマは過去の継続研究として,担任異動の経験が教師の内面にあるカリキュラムに対する知識構造をどのように左右するかを再分析することであった.しかしながら,上記二つの研究課題に時間をさき,このテーマは次年度に持ち越し,従来の方法を洗練させ,深く追求することとした.
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