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1999 年度 研究成果報告書概要

ヒト及びチンパンジー乳幼児における社会的交流活動の高次化

研究課題

研究課題/領域番号 10610109
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 教育・社会系心理学
研究機関京都大学

研究代表者

田中 真介  京都大学, 体育指導センター, 助教授 (60201620)

研究期間 (年度) 1998 – 1999
キーワード発達心理学 / 霊長類学 / チンパンジー / 乳幼児の発達 / 道具利用 / 社会的交流活動 / 定位活動 / 言語発達
研究概要

ヒト乳幼児5名と飼育下のチンパンジー乳幼児10個体の発達過程を縦断的に観察し、種独自の社会的交流活動の高次化の過程と種間の共通性とを検討した。特に全身活動、積木などの対象操作活動、発声や視線の変化、感情表出の特徴及び個体間の関係を分析した。
全身活動系では寝返りや四足移動をチンパジー乳児は生後3か月頃に獲得した。ヒト乳児より早期である。手指による対象操作では、ヒト10か月児の定位操作をチンパンジーは1〜2歳代に示した。全身活動や道具利用行動それぞれの発達局面の獲得の順序性はヒト乳幼児と共通していた。しかし、相手に物を渡す、模倣する、定位的調整をしながら相手に視線を送るなどの社会的交流活動はチンパンジーでは観察できなかった。また、ヒト乳幼児は、欲求・要求対象に直接到達できない矛盾事態、および、対関係を操作する状況にあるとき、積極的に視線や発声を他者へ送り、社会的な関係を自ら結ぼうとする傾向が強かった。道具使用につながる物の定位的操作だけでなく、対象物を媒介に思考や感情を他者に定位する社会的交流活動を行うことによって、ヒト乳幼児はのちの音声言語形成の前提を整えるらしい。ヒト1歳代の積木つみをチンパンジーは2〜4歳代に示したが、自分と対象物との間で認知-操作の世界を閉ざすことが多く、他個体との交流の頻度はヒト乳幼児より有意に少なかった。人間による人工哺育を受けた個体は、チンパンジー母親による自然哺育を受けた個体よりも、積木を積む、器で水を汲むなどの道具利用行動が早期に形成される傾向が見られた。以上から乳幼児保育で重要なことがらを考察し、制度改革の課題を提案した。

  • 研究成果

    (14件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (14件)

  • [文献書誌] 田中真介: "思春期を見通した幼年期の教育"幼年教育. 124. 6-13 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中真介: "子どもの心を受けとめながら発達をみる"幼年教育. 125. 26-31 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中真介: "幼児期における姿勢・運動機能と認知・言語機能の発達連関"日本応用心理学会第65回大会発表論文集. 168 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中真介: "幼児期における自己認識と中間概念の発達連関"日本応用心理学会第66回大会発表論文集. 92 (2000)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中真介: "重度心身障害児へのBCG接種による健康被害と療育生活"障害者問題研究. 26-4. 335-349 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Tanaka,S: "Development and Education in Childhood I"Kyoto University.. 160 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中真介: "ヒトとチンパンジーのあいだ"京都ライトハウス点字図書館(視覚障害者オーディオテープレター・ライブラリー). (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Preschool Education lead to Adolescence"Early Child Education. 124. 6-13 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Child Development and Child Mind"Early Child Education. 125. 62-31 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Developmental Relationships between Postural-Movement and Cognitive-Language in Childhood"The Japan Association of Applied Psychology (proceedings). 65. 168 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Developmental Relationships between Self Recognition and Middle Concept in Childhood"The Japan Association of Applied Psychology (proceedings). 66. 92 (2000)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Harmful Effects of prophylactic BCG vaccination in a Child with profound disability"Japanese Journal of Studies on Disability and Handicap. 26-4. 39-53 (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Development and Education in Childhood I"Kyoto University. 160 (1998)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka S.: "Human and Chimpanzee (Audio tape Letter)"Kyoto Light-House Braille Library. (1999)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2001-10-23  

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