研究概要 |
平成10年度は、平成9年に実施した第9回の全国初潮調査における女子小・中学生の回収資料73,309人の結果をデータベース化して、性成熟、朝食習慣、父母との関係、女性性の受容等の女子思春期発達に関連したデータの解析を実施した。なお、この調査人数は調査当時の母集団の2.0%に相当し、全国的な傾向を分析することが可能なものであると考えられる。 1. 女子性成熟:本調査の資料をもとに、プロビット分析により計算した平成9年2月における日本の女子初潮年齢は12歳2.0カ月(標準偏差1歳1.2カ月、標準誤差0.1カ月)であった。これは、昭和52年から昭和62年にかけて12歳6カ月で停滞傾向にあったと見られる日本の女子初潮年齢が新たな低年齢化傾向を示し始めたことを確認するものであった。なお。この性成熟年齢には国内地域差が見られ、沖縄県や青森県は早く、両県では平均初潮年齢は11歳代にまで低下している。また全国的にも、さらに低年齢化が進行する可能性も示唆された。 2. 健康習慣と性成熟:健康習慣と性成熟の関わりを分析するために、Breslowの健康習慣指数から朝食の摂食回数と初潮との関わりを分析した。その結果、1週間あたりの朝食回数は、小学校5年生から中学校3年生にかけて低下する傾向が見られた。中学校3年生で、7回食べるものは全国で66.8%であった。調査対象を朝食回数で区分して、各平均初潮年齢を計算すると、週7回群は12歳2.7カ月であるのに対して週1回の朝食群は11歳7.0カ月と、摂食回数が低下すると平均初潮年齢が低下する傾向が見られた。このことにより、女子の性成熟の低年齢化には、不健康習慣が結びついている可能性が示唆された。 本年度の分析により、性成熟と他の思春期変化とが深く結びついていることが示唆されるとともに、思春期児童・生徒の発達環境に大きな変化が進行していることも推測された。
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