本研究は、文章などからの学習における具体化情報の効果について、文章の記憶表象の形成という側面と、実際の授業における効果について検討したものである。 1.文章からの学習など、様々な学習を促進する方略としての具体化情報の機能について検討するために、実際の講義における具体化情報の機能について検討した。講義としてはコンピュータ入門期の講義を採用した。その結果、具体化情報の提示は、コンピュータに対する誤った知識を減少させる効果を示した。また、コンピュータの操作を速める効果も示された。さらに、コンピュータの誤った操作を減少させる効果も示された。 2.文章の理解表象の表現法として、概念ノード間の距離に基づく3つの多変量解析法について比較検討することを目的とした研究を行った。3つの多変量解析法とは、クラスター分析、多次元尺度法、パスファインダー法である。大学生を被験者として、2種類の文章を提示し、その後の文章の再認マッピング課題をさせた。再認マッピング課題とは、先に読んだ文章の中にあったか無かったかを再認リストから判断し、さらにあったと思ったものの概念地図を作る課題である。実験の結果、適切タイトル条件の方が不適切タイトル条件よりも文章の保持が促進され、既有知識との結合が強くなることが再認記憶課題から示された。さらに、3つの多変量解析による文章の記憶表象表現を比較検討したところ、パスファインダー法による表現が、多の2つの方法よりも、文章内の概念間の意味的整合性の高い表象表現が得られることが示唆された。
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