研究課題/領域番号 |
10610120
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒川 正流 広島大学, 総合科学部, 教授 (90037036)
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研究分担者 |
坂田 桐子 広島大学, 総合科学部, 講師 (00235152)
金川 智恵 甲子園大学, 人間文化学部, 助教授 (70194884)
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キーワード | 自己概念 / 文化 / 適応 / 社会的適応 / 文化的自己観 |
研究概要 |
本研究の目的は、自己概念に関する従来の諸知見を、「自己概念の柔軟さ」と「文化的自己観」という概念道具を用いて統合的に説明することである。具体的には、(1)自己概念の分化度、自己概念の柔軟性、役割葛藤について、東西文化圏に共通する測定尺度を作成し、概念定義を明確化する。(2)性役割同一性をめぐる役割葛藤において「自己概念の分化×柔軟さ」および「分化した自己の諸領域の重みづけ」が果たす機能を明らかにする。(3)「自己の相互協調性」と「自己概念の分化度」の関連を明らかにする。 本年度は目的(1)に重点を置き、尺度構成と標準化を行うための基礎データを収集した。相互独立-相互協調的自己観に関する既存の尺度項目、他者志向性と自己呈示変容能力の測定項目、および精神的・身体的健康状態尺度25項目の択一式質問と、二十答法による自己概念の自由記述からなる質問紙の日本語版と英語版を作成した。英語版はミシガン大学ユージン・バーンシュタイン教授の校閲を受けた後、ミシガン大学生119名に実施した。日本語版は広島大学生122名に個別実施した。さらに質問紙の一部は中国語に翻訳して中国南京市の東南大学生133名に実施した。 得られた結果を暫定的に共構造分散分析にかけたところ、文化的自己観の因子構造が国別で異なることが確認された。自己概念の分化度および精神的・社会的適応との関連を検討中である。これまでの知見を用いて目的(2)の具体的実施計画を立案中である。目的(3)についての知見を含め、アジア社会心理学会において成果を報告する予定である。
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