研究概要 |
学校が提示する環境と個人の組み合わせは,ある時は成長をある時は失敗や挫折・傷つけられる経験を内包している.そこで"goodness or fit"といった観点から,不登校に陥る生徒たちの不調和(学校ストレス)の実態について,適応指導教室などで不登校生徒を日々指導している教師に聞き取り調査・自由記述形式の質問紙によって,彼らが苦手な場面・嫌だと思っていることについてデータが収集された.その結果, 1. 34項目からなる不登校生徒が嫌だと思う項目が選出された.これらすべての項目について,"学校が毎日楽しい"群と"毎日学校にいくのがつらい"群で有意差をみたところ,2項目を除いてすべての項目に差が見られた.したがって,これら32項目で学校ストレス尺度が構成された. 2. 不登校を生み出す学校ストレスを明らかにするため,下位尺度について検討され,以下の8下位尺度が見いだされた. ・「求群感情」(ex.集団行動がとれず一人目立ってしまった)対「嫌群感情」(ex.みんなとおなじことをしなければならなかった) ・「独立への欲求」(ex.やりたくないことを強制された)対「依存への欲求」(ex.親が無関心に思えた) ・「達成への期待」(ex.納得する成績がとれなかった)対「自信のなさ」(ex.自分が意味のない人間の気がした) ・「自己主張への欲求」(ex.自分の言いたいことが言えなかった)対「同調行動」(ex.みんなの意見に従った) 3. 妥当性の検討のため,不登校傾向のある生徒と一般中学生について本尺度を比較し、さらに精神的不健康の程度を測る指標として「バウムテスト」と「学校嫌い感情」について調査した.その結果,一般中学生の中の不登校予備群について特徴的な結果が得られ,適応している生徒との差が本尺度によって明らかになることがわかった.
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