研究課題/領域番号 |
10610131
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
石川 利江 長野県看護大学, 看護学部, 助教授 (20222979)
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研究分担者 |
井上 都之 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (00281254)
池田 紀子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70281251)
奥野 茂代 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (90295543)
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キーワード | 在宅介護 / 高齢者 / ストレスコーピング / 健康 |
研究概要 |
高齢者を自宅で介護する家族介護者217名(平均年齢64.3歳)を対象として、介護者の精神的健康とストレスコーピングの関連性について検討を行った。介護者の健康とストレスコーピングとの関連性は主観的健康感尺度得点を基準変数、影響すると考えられる要因を説明変数とした重回帰分析を実施して行った。説明変数としたのは、29要因すなわち、介護者の性別・年齢・要介護者との関係性・介護期間・家族数・要介護者の状態・痴呆・介護時間・家族の協力・福祉満足感・肯定的評価対処・サポート模索対処・放置静観対処・積極的努力対処・感情的対処・気分転換対処・セルフコントロール対処・問題解決対処・実際的サポート量・情緒的サポート量・否定的サポート量・実際的サポート満足度・情緒的サポート満足度・実際的サポート経験・情緒的サポート経験・否定的サポート経験・要介護者への否定的関係・要介護者への肯定的関係であった。 その結果、心理的安定に対して有意な効果がみられたのは6変数、体調は5変数、主観的健康感で3変数であった。意欲と生活行動習慣では今回の説明変数では有意性は示されなかった。それらの有意性の示された変数は、肯定的評価対処、サポート模索対処、放置静観対処、積極的努力対処、気分転換対処、実際的サポート量、要介護者との否定的関係であった。客観的なストレッサーであろうと予測された介護時間や要介護者の状態が有意な効果を持たなかった。全体として有意であった変数の数をみると健康感に対する対処の重要性が指摘できる。特に介護者の健康のためには、気分転換的対処ができることが大切であり、認知的な対処や積極的に問題解決のための努力をするといった対処は適切ではないことが明らかになった。このような結果は、一般的なストレス認知理論からすれば矛盾するものであるが、介護という状況に対して一時的なストレス場面では適切とされる対処が必ずしも適切ではないということを示している。
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