研究課題/領域番号 |
10610131
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
石川 利江 長野県看護大学, 看護学部, 助教授 (20222979)
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研究分担者 |
井上 都之 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (00281254)
池田 紀子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70281251)
奥野 茂代 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (90295543)
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キーワード | 在宅介護者 / 高齢者介護 / ストレスコーピング / 健康感 |
研究概要 |
高齢者を介護する家族のストレスとその対処方法との関連性について2年の間隔をおいて行われた調査結果に基づき検討した。まず、第1回調査結果に基づき13名の介護者を選び、自分たちの介護の問題や日常の出来事を話しあう介護者ネットワークをつくった。この介護者ネットワークにはこれらの介護者以外にも、大学教員や学生、地域のボランティアなども含まれた。会話は主にコンピュータネットワークによるメイルのやりとりを通じて行われたが、直接会って話し合う機会も年に数回設けられた。この介護者ネットワーク開始後、2年経過した時点で再度その地域の全在宅介護者を対象とした調査を行った。この2回の調査に回答した介護者は38人であった。そのうち、介護者ネットワーク参加者は5名で、残り8名は要介護者が死亡するなどして2回目の調査に回答しなかった。 そこで本研究では2回の調査に回答が得られた38名の調査結果をストレス対処と健康感と言う観点から検討を行った。その結果、介護者ネットワークに参加した介護者と非参加介護の主観的健康感得点には交互作用が見られ、参加介護者の主観的健康感は2回目の調査で有意に上昇し、非参加介護者は介護の継続に伴い有意に低下していた。また、ストレスコーピング法についてみると、認知的対処得点の低下が非参加介護者で著しく、参加介護者ではほぼ同レベルを維持されていた。その他、気晴らし対処やソートストッピング対処といったストレス低減に有効であると思われる対処も参加介護者の得点が高かった。さらに、介護者ネットワーク参加介護者に対する自由記述式の調査結果でも、ネットワークに参加することはおしゃべりができて楽しい、気晴らし、外とのつながり、生きがいといった意見が出された。 以上のことから、介護者ネットワークに参加しメイルをやりとりすることは介護者の1つの感情表現として役立ち、ストレスの低減にも影響していると考えられる。
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