研究概要 |
2つの調査を実施し,分析・考察を行った。 調査1は,平成11年度に調査対象を女子青年として実施したものと同様である。 本年度は男子青年を加え,男子及び女子青年の育児観に関する調査とした。調査項目は,(1)育児への積極性,(2)男女の性役割観,(3)対児感情,(4)男性への育児参加期待の4つである。大学生231名(男子123名,女子108名)を対象として調査を行った。重回帰分析を行った結果,育児への積極性は対児感情に影響されることが分かった。 調査2は,平成11年度に女子大学生524名を調査対象として実施したものと同様の女子青年の育児観に関する調査である。調査項目は,(1)育児への積極性,(2)男女の性役割観,(3)対児感情,(4)母親の養育態度の4つである。本年度は女子短期大学生400名を対象として調査を行った。重回帰分析の結果,育児観が子ども観と深く関係していることが分かった。 本年度は平成10年度〜12年度に行った6つの調査の結果を総合的に分析・考察し3年間の研究成果をまとめた調査報告書を作成した。 本研究が目的とした女子青年の育児への積極性を軸に,被験者の性役割意識,対児感情,母親の養育態度との関連性を明らかにすることに一定の成果を得る事ができた。 本研究は,女子大学生を中心に,同年齢の他集団との比較も加えながら,女子青年の育児への積極性と,性役割意識,対児感情,母親の養育態度との関連性を調べることにより,数年後には母親となる女子青年の育児観を明らかにしようとしたことにも一定の成果を得ることができた。 合計特殊出生率の下降傾向の続くなかでの高齢化社会への移行は,今後の日本の重要な社会問題であるが,女子青年の持つ育児観を明らかにすることに一定の成果が得られたことは先行研究としての意義があったものと思われる。
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