研究課題/領域番号 |
10610139
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
小谷 英文 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70093755)
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研究分担者 |
笹尾 敏明 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (10296791)
磯崎 三喜年 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (50135399)
町田 健一 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (00245664)
井上 直子 桜美林大学, 国際学部, 講師 (90296400)
RACKHAM David William 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (80207498)
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キーワード | 学級集団心理療法 / 否定的感情 / いじめ力動 / スケープゴート / 教師の対人ストレス / 対話能力 / 心理教育プログラム / 応答構成法 |
研究概要 |
心の教育を実践するための児童・生徒への心理学的応答を訓練する理論とプログラムを仮構成し試行訓練を繰り返した。その訓練を受けた一人の教師と研究チームで、学級内で生ずるいじめ、引き蘢り、その他の神経症的反応に対し教師が臨床的視点の枠組みを持って対応する「学級集団心理療法」をデザインし、同一クラスにおいて小5〜6年の2年間にわたって継続的に実施観察した。それにより、児童の学級に潜在する否定的感情の発見と処理のメカニズムおよびいじめ力動としてのスケープゴートの発生と解消の過程を描き出すことができ、教師による学級集団心理療法的学級運営の基本原理を見い出すことができた。同時に困難な問題もいくつか同定された。それは、児童の問題行動の観察、予測、力動理解は、サポートチームによる同時並行指導によって教師が十分できるようになるが、それを教育的介入に移す所で教師に多大なストレスがかかること、そのストレスは他の教師の理解を得ること、児童との対話能力及び父兄との連携において児童を叱ることの困難さによるものが大きいと分析された。その事例研究結果を、一般的傾向として確認するため、教師の対人ストレス実態調査を行なった。その結果も、教師のストレス負荷は同僚教師との間に最も高くなる結果となり、事例研究の分析を指示するものであった。これらの研究成果を基礎に、先に仮構成した教師の心理教育マニュアルを教師の児童・生徒との間の対話能力の訓練に絞って最終整備し、体系的な心理教育プログラム「教育的対話力:応答構成法による挑戦」にまとめた。調査資料からは、上司とのストレス場面と養育者とのストレス場面の特徴的力動を分析した。「教育的対話力」の訓練法をさらに精錬していくことと上司及び同僚教師の対人力動、組織力学を考慮したストレス・マネージメントや養育者との連携を図る心理教育プログラムを構成することが、次の課題である。
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