人の発達をどのように見ているのかは、メタ発達に関する問題として捉えることができる。自分および他者の時間的変化をどう意味づけ、どのような側面の変化として捉えるのか、それが年齢という変数に伴う変化といえるのか、などについて人がどのような認識をもち、それ自体がどのように発達していくのかを検討することは重要な課題といえるだろう。 本研究では子どもが年齢によって、人の時間的変化をどのように捉えているかを見ていった。言語化が難しいと思われたので、描画を用い、子どもに人物画を描いてもらうことによって行った。発達的に異なる年齢の描画をどのように描きわけるのかを、過去、現在、未来を想定した人物画を描くことによって見ていった。また、他者が描いた絵を見て、その描き手の年齢を推論することも併せて行った。幼児から小学校中学年の子ども達にとって、描画からの判断はある程度可能ではあるが、自分が過去に描く絵や未来に描く絵を想像することは難しく、特に未来については非常に困難であることが示された。また、時間的変化が大きさの変数と結びついて捉えられ、このような量的変化に対して質的変化を捉えることは少なくとも小学生中学年の段階までは難しいと考えられた。 知的な能力の変化、描画にみられるようなスキルや認知にかかわる変化、死や病気のような年齢に伴う必然的変化などの認識について、これまでの研究において取り上げてきた。 必ずしも、十分に明らかにできたわけではないが、「メタ発達」に関する研究として位置づけることができ、これまで十分に取り上げられてこなかったこの領域に焦点を当てる一つに契機と成りうればと考える。
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