人の発達をどのように見ているのかは、メタ発達に関する問題として捉えることができる。自分および他者の時間的変化をどう意味づけ、どのような側面の変化として捉えるのか、それが年齢という変数に伴う変化といえるのか、などについて、人がどのような認識をもち、それ自体がどのように発達していくのかを検討することは重要な課題といえる。このために次の研究を行った。 1)知的能力に関する発達認識について、年齢に伴ってどのような認知的処理を発達させるかをみるために、知能検査を一つの指標として、その個々の問題の年齢に伴う達成状態を予測させることを行った。 2)年齢に伴う変化の一つである病気、死に関する概念の発達のレビューと、これに関する幼児と成人との異同を検討した。非可逆性、身体機能停止などの幾つかの要素について、発達的変化がみられたが、一方向的に変化するものではなく、質における違いがあることが示された。 3)年齢に伴う変化をどのように捉えているかをみるために、描画を用いて検討した。幼児から小学生を対象として、過去・現在・未来のそれぞれの時点での描画を予測してもらい、時間に伴う変化の認識を見た。量的変化に年少児は還元されやすいことが示された。 4)大学生を対象として、自分の変化に関する一生の図を描いてもらった。自己の変化について、どのように捉えているのかについての示唆を得たいと考えた。 これらの研究を通して、時間的変化に対する認識そのものを研究対象とし、メタ発達を問題とする研究領域の可能性について提示した。
|