当初の予定に沿い、今年度は全体として、昨年度と同じ形式の調査を継続することで、資料の連続性と量的増大化を図った。すなわち、ラテンアメリカ諸国からの日系人留学生に、MMPIのスペイン語版とポルトガル語版を施行、昨年度来日の20名に加え、今年度来日の20数名に実施した。昨年度のグループに昨年施行したMMPI結果と今年度の結果を比較、1年後の経過を検討した。さらに、今年度グループのMMPI結果と、昨年度グループの結果を比較検討した。 また、昨年同様に、神経質調査表のスペイン語版とポルトガル語版を施行し、上記のMMPI結果と合わせて、パソコンの表集計ソフトを用いてデータベース化した。それにより、上記の比較検討が容易となり、また、グラフ化(プロフィール化)も自動的にでき、各受検者へ視覚的にフィードバックすることが可能となって、面接に効果的に導入できるという利点が得られている。なお、神経質調査表による調査の結果、日系人にも、神経質傾向がいくらかみられることが示唆されたが、これはとくに昨年と今年の調査で明らかになった点である。 今年度購人のデジタルカメラ、スキャナー、ICレコーダー、モバイルプリンターを、十分に活用し、日本国内(とくに沖縄)や、メキシコの日墨協会に出張の際に持参し、活用してきた。本調査研究は、4年間の継続で、あと1年を残しているが、現段階として、十分な資料の蓄積がなされつつあり、次年度の最終処理と比較検討を実施できる見込みがついたことが、今年度におけるとくに大きな成果であったと考えられる。
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