今年度は調査の最終年度であるため、資料の充足と収集完結を目標とし、さらに、これまでに蓄積してきた資料の検討、分析に力をそそいだ。 これまでと同じ方式で、ラテンアメリカからの日系人留学生に、MMP1のスペイン語版とポルトガル語版を施行、20余名の資料が得られた。同時に、神経質調査表のスペイン語版とポルトガル語版を実施、やや異なった2つの側面からのデータ収集ができた。表集計ソフトにデータを組み込み、これまでに蓄積した資料と一体化し、分析のための基礎が整った段階にある。 また、上記の心理テスト結果について、各日系人にフィードバックする際、構造化された面接を実施し、必要な資料の収集を図った。日系人は一般的に、「自分とは何か?」という課題を抱いていることが多いため、心理テスト結果には積極的な関心を示すことが少なくない。そのため、面接を通じての資料収集が行ないやすい面がある。分析の中間段階として、やはり、日系人にはアイデンティティに関わる、一種の葛藤や不全感がみられることが示唆されている。 上記の資料をメキシコへ持参し、現地在住の日系人らと一緒に検討した結果、分析のための有用な意見が得られた。また、結果発表について強い関心を示され、日墨協会発刊のBoletin Informativo誌に、連載で執筆することを依頼されている。
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