研究概要 |
初年度は、自尊感情の源泉を個人の能力・業績、対人関係、集団所属の水準に分け、それぞれが相対的にどの程度全体的な自尊感情の水準を規定しているのかを明らかにするための質問紙調査を実施した。具体的には、男子学生119名、女子学生84名を対象にして、第一回調査では自尊心尺度(Rosenberg,1965)を含む質問紙に回答を求め、第二回目調査では、(1)自大学・他大学の評価(教員の質、研究設備、就職先、カリキュラムなど12の側面)、(2)サークル・大学・家族の状況、(3)友人関係(最も親しく付き合っている同性の友人との関係の質についての評定)などについて回答を求めた。 その結果、(1)全体的に見ると、男性回答者は女性回答者よりも所属大学を高く評価している、(2)男件の場合、自尊心の高低によって他大学の評価に差はないが、自大学の評価については高自尊心群のほうが低自尊心群よりも高い、(3)女性の場合、自尊心の高低によって他大学の計価に差はないが、自大学の評価については低自尊心群のほうが高自尊心群よりも高い、などの傾向が見られた。現在、さらに友人関係から得られる満足感、自己の能力から得られる自尊感情と、こうした集団所属に伴う自尊感情の関係について詳細な分析を行っている。
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