本研究は、教師の成長過程を、教師を支えるサポートネットワークの実態についての調査研究と、実際に教師へのサポートが行われる場としての、授業検討会、校内研修の過程の談話分析を通して検討することをねらいとしている。 上記研究目的のために、本年度は第1に概念枠組みの構築として、<同僚性と教師文化>を軸に文献研究を行い、またこの研究を遂行するにあたって先駆的研究を行ってきているハーバード大学、コロンビア大学ならびに学校改革を行っている実験校を1998年12月に訪問し、教師教育の研究者と情報交換をした。これまでの教師発達研究では、個人の知識・信念・技能に焦点をあてた理論枠組みが多かったが、同僚性を軸に、教師文化のあり方から教師の発達を捉える動向も進展してきており、日本の独自性を踏まえながらこの理念枠組みを用いて教師文化へのサポートを考えるための理論論文を現在執筆中である。 またサポートのあり方を実証検討するため、教師の環境移行と発達いう観点から学校の移動(転勤)が教師に与える影響に関して、80名の小中学校教師から質問紙調査によって情報収集を行った。ここからは異動に関して自己決定権をもっことのできない教師の葛藤と、校内研修や校務分掌等での学校による相違が教師の活動を制約する可能性と質の異なる環境や生徒との出会いが授業作りへの発達の契機となることが明きらかにされた。さらにこの調査を踏まえ約300名の小中高教師への調査によって、現在の職場での問題とそれを話し合える同僚教師の数や同僚に望む内容についてのデータ収集を行い、現在分析を実施している段階である。
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