今年度は校内研究におけるフィールドワーク並びに移動に関する質問紙研究に関して調査を実施した。まず転勤に関しては、小中学校の公立を対象にする質問紙研究から、第1に大半の人が転勤を、自分の教育理念や指導法を見直す機会として肯定的にとらえていること、しかし1年目においてはいかなるベテランもその学校文化に適応することが優先され、またその学校文化が時には転勤の否定的側面を強めるものとして働くことが明らかにされた。また教員自身は教師のライフコースを考えた転勤のあり方をもとめる声や、地域との連携やクラブなど継続性が必要とされる事態においてはそれらを重視した移動が必要であることが示唆された。転勤はわが国独自の教師の勤務のあり方であり、教師のサポートネットワークを広げると同時に、そのネットワークへの適応の問題などの検討が必要なことが示された。 第2の校内研究におけるフィールドワークに関しては、談話分析を通して、カンファレンスにおける道具の果たす機能としてのビデオ、実践記録のあり方が教師のカンファレンスのありかたに影響を与えることを示した。またネットワークに関しての多層性として、教師の談話内容、談話における論理構造に学校における差異がみられることを示した。 なお、本年度教師のサポートネットワークに関する質問紙調査を実施したが、この内容については現在分析中である。
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