1.以前の研究において、睡眠誘導過程における睡眠誘導初心者と熟練者の言葉掛けにおける音声の周波数分析において、違いが見出されている。今回は、言葉という意味内容を排除して、初心者と熟練者の音声の周波数における特徴だけを取り出し、それを10個のリズムの合成音として作成した。それと同時に、リズムの合成音として、催眠誘導超熟練者の音声における周波数分析において見出された複合リズムに類似した規則的機械的リズムと、それとは正反対の複合リズムを作成し、それら4つのリズムの与える影響を複数の被暗示性と気分の側面から測定した。結果としては、一貫したものが見出されなかった。このことについては、更なる研究が必要であろう。 2.催眠経験初心者と催眠経験熟練者における呼吸リズムの同期について調べた。以前の研究では、催眠経験初心者同士、および催眠経験熟練者同士の催眠誘導過程における呼吸の同期が調べられたが、今回は、催眠経験の初心者と熟練者における呼吸の同期が調べられた。以前の結果と合わせて考えると、同期の程度に関しては催眠誘導者が被催眠者よりも大きく関わり、呼吸リズムに関しては被催眠者が催眠誘導者よりも主導権を握っているのではないかという結果が得られた。 3.イメージ体験に対する干渉刺激がどのような影響を与えるかという観点から、実験が行われた。干渉刺激としては、イメージ体験内容と同じ音刺激、少し異なる音刺激、大きく異なる音刺激が用いられた。イメージ体験と音刺激から生じる干渉関係は、同じ音刺激および大きく異なる音刺激では干渉関係はすぐに処理されたが、少し異なる音刺激の場合には、干渉関係の処理が干渉刺激の存在しない状況にも影響を与えた。
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