1.暗示催眠においては、否定形暗示が否定形として作用するか、肯定形として作用するかについて、行動に関する暗示について調べられた。その結果、行動に関する暗示では、行動を指示する暗示内容の指示が細かい場合の方が、大まかな場合に比べて肯定形として影響を与えていた。このことに関しては、細かい暗示内容の場合、そこに軸が形成され、その軸によって否定形暗示が肯定としての影響を与える可能性が強くなることが考えられた。 2.非言語的感情表出に関して、覚醒状態に比べて、暗示催眠、ジェイコブソンのリラクセーションでは、足における身体動作は顔面表情筋筋緊張パターンに変化を与えなかったという結果が得られた。このことから、暗示催眠及びジェイコブソンのリラクセーションにおいては、感情表出の全身におけるダイナミックなメカニズムが覚醒状態と異なることが考えられた。すなわち、感情表出の全身におけるダイナミックなメカニズムから、身体部位がそれぞれに分割される可能性を示唆しているのかもしれない。 3.催眠イメージにおいて、イメージ内容と異なる聴覚刺激が外から与えられたとき、内容の異なる程度が微妙に異なる場合、イメージ体験者のなかに微妙に持続する葛藤状況が作られることが示唆された。 4.暗示催眠状態では、覚醒状態に比べ、課題と向かい合ったときに、やろうという気持ちや、やらねばならないという気持ちが弱いことが示唆された。
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