研究課題/領域番号 |
10610149
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
唐沢 穣 神戸大学, 文学部, 助教授 (90261031)
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研究分担者 |
村田 恵理子 (工藤 恵理) 青山学院女子短期大学, 教養学科, 助教授 (30269386)
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キーワード | 合意性推定 / フォールス・コンセンサス効果 / 投影効果 / 内集団・外集団 / 社会的アイデンティティ / 自己カテゴリー化 / 社会的ステレオタイプ |
研究概要 |
実験1. 意見分布推定とステレオタイプ的判断との関係 文学部心理学科に所属する大学生188名を対象に実験を行なった。内集団(心理学科)と外集団(経営学部)の学生にステレオタイプ的な態度や属性と、これらに反する態度・属性が、各集団にどのように分布しているかを推定させた。自己の態度・属性と一致する内集団成員の割合は過大に推定するが、外集団に関してはステレオタイプ的な判断のみを示す「内集団投影効果」が多くの項目で見られた。 実験2. 集団間境界の顕著性が内集団投影に及ぼす影響 女子短期大学生167名を対象に実験を行なった。1・2年生の「学年」を被験者にとっての内・外集団として扱い、「課題図書の選択」における選好傾向について分布推定を求めた。結果は、選好における学年間の違いを強調する教示を与えて集団間境界を顕著にした条件では内集団投影効果が増大することを示し、投影効果の原因を社会的アイデンティティに求める理論的説明に根拠を与えた。 実験3. 模擬社会ゲーム状況における信念の投影現象 集団間の競争と協同の関係をシュミレートした模擬社会ゲーム状況で、イデオロギー的信念に関する分布がどのように推定されるかを吟味した。地位差が付与された異なる「地域」の住民が、資産増大をめざして地域間競争をする一方、これらを包括する「世界」全体の環境を保全するために協力も必要という社会的ディレンマ構造のもとで、大学生137名が参加してゲームを実施した。地域間交渉において「自地域の利益優先か他地域との友好優先か」、「自地域の利益優先か世界全体の環境優先か」などのイデオロギー的信念に関して、各被験者自身の意見と、内・外集団成員の意見分布を推定させた。内集団投影効果に対して、集団間の地位差、各成員の集団同一視の程度、内・外集団の意見変動性認知などが関係することが明らかになった。
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