研究概要 |
確率比例抽出法を用いて京都市の選挙人名簿から1000名を抽出し、郵送配布訪問回収法により平成10年11月下旬に国政に関する意識調査を実施した。有効標本数は589で、男性が47%、女性が53%であった。平均年齢は、47.7歳であった。 過去研究において、道具性要因と関係性要因が公正判断に影響することが明らかにされている。そこで、道具性要因として国益と私益、関係性要因として尊重、中立性、信頼をとりあげた。今回新たに、信頼を意図の信頼と能力の信頼に分けて検討することにした。 まず、手続き的公正を基準変数、国益、私益、尊重、中立性、意図の信頼、能力の信頼を説明変数として重回帰分析を行ったところ、意図の信頼(β=.236,p<.001)と能力の信頼(β=.144,p<.01)が有意に手続き的公正に影響していた(adjusted-R^2=.307,p<.001)。次に、基準変数を分配的公正にかえて、同様に重回帰分析を行ったところ、意図の信頼(β=.200,p<.001)、能力の信頼(β=.112,p<.05)、中立性(β=.110,p<.01)、国益(β=.103,p<.05)、私益(β=.139,p<.05)が有意に分配的公正に影響していた(adjusted-R^2=.295,p<.001)。 上記の結果は、手続き的公正に関係性は影響するが道具性は影響しなかったこと、分配的公正には関係性と道具性のいずれも影響したこと、手続き的公正と分配的公正に共通して影響していたのは信頼であることを示している。従って、公正判断において、関係性、とりわけ、信頼が重要な要因であるといえる。
|