「社会的行動に於ける文化間変動と文化内変動は相同関係にある」という本研究計画の基本的仮説を検討するべく、高田(1987)の技法を用いた自己卑下的自己評価に関する実験を、日本人学生と加奈陀人を対象に実施した。これは、文化間変動に関する概念である「相互独立的-相互協調的自己観」と、個人内変動に関する概念である「相互独立性-相互協調性」の効果を比較検討するものである、その結果、高田(1987)の見出した自己卑下的傾向は、日本人被験者のみに見られ、加奈陀人には見られなかった(文化間変動)。而して、日本人被験者の中では相互協調性が優勢な者にその傾向が著しい(文化内変動)。他方、加奈陀人被験者では相互独立性-相互協調性による文化内変動は見られないことが判明した。
|