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1998 年度 実績報告書

親子相互交渉が楽しさから葛藤に変わる時期とその要因の探索

研究課題

研究課題/領域番号 10610153
研究機関姫路工業大学

研究代表者

中野 茂  姫路工業大学, 環境人間学部, 教授 (90183516)

キーワード母子 / 乳児 / 相互的やりとり / 冗談様式の働きかけ / 笑い / ビデオ分析 / ジ・オブザーバー / 親の暗黙の信念
研究概要

所属する研究機関(環境人間学部)は、本年度開設されたばかりの新設学部であるため、今年度は、本研究を実施するための施設、設備の整備を主に行なった。具体的には、ビデオ収録した生データを編集し、分析対象となる部分を取り出せる装置、ジ・オブザーバーというコンピュータ上でビデオ資料を分析処理ができるソフトの導入などである。これによって、これまで手作業で書き取りをしてきたために膨大な時間のかかったビデオ資料の分析作業における負担が大幅に軽減されるとともに、費やされる時間も減少できるような体制を整えることができた。
この施設を利用した本研究の本格的な推進は次年度からになるが、いくつかの予備的分析結果からは以下のような興味深い示唆が得られている。第一に、母親と乳児とのやりとりでは、母親が乳児から笑いを引き出そうとする大げさな身振りやイントネーション、くすぐり、突っつき、騙し、驚かすことなどの多様な冗談様式の働きかけをすることである。この働きかけは、早くも6か月の乳児に対しても用いられていた。このことは、母親は、それらの冗談様式の働きかけによって乳児から笑いを引き出せる、つまり、そのような働きかけが有効であるという暗黙の信念を持っているのではないかということを示唆する。第二に、上のような働きかけは母子の相互的なやりとりの創造過程を作りだし、飛躍的で不連続なやりとりの流れを生みだしていた。つまり、乳児を笑わせようとする母親の試みは、子どもがそれのどのようにどれほど「乗ってくる」かで次々に変わっていった。すぐに笑いを引き出せた場合には、働きかけは「ふり」だけで十分になり、なかなか笑わない場合には同じ行為を何度も反復し、最後にはくすぐりによって無理に笑いを引き出すというように。
これらの予備的な結果を受けて、次年度からは、子どもを笑わせられるという母親の暗黙の信念が、子どもの年齢のよってどのように変わっていくのかを明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 中野 茂: "出来事親和性と出来事親密性" 姫路工業大学環境人間学部研究報告書. 1. 93-104 (1999)

  • [文献書誌] 中野 茂: "足もとを照らそう" 発達. 76. 2-5 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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