不登校児童生徒の社会参加をうながし、これを通じて学校復帰や心理面、行動面の変容に向けた変化の過程を把握することをねらいとしている。 活動は福祉体験を経験することからはじめた。目の不自由な人の体験、耳の不自由な人の体験を手話で聞く、老人ホームのお年寄りとのキャンプ、自分たちの手作りの食事でお年寄りと交流する体験などである。この活動の世話をする人は地域の大人や大学生の若者を中心としたボランティアである。 社会参加や交流は障害を持つ人、お年寄りを対象としている。これらの人たちと子ども達が交わる場合、そのための準備や経験期間が必要であることがわかった。活動は年間を通じて行ってきたが、その活動に福祉体験を多くとりいれた。これが準備の役割を果たしていたと考えられる。 また、低学年であってもこの活動は可能である。お年寄りや障害を持つ人にも快く受け入れられる。活動には不登校児童生徒だけでなく、不登校でない児童生徒も参加した。福祉活動で両者の交流がはかられた。これはその後の交流を生むきっかけになった。 福祉体験は活動の場面が多様である。そのため児童生徒でも、介助や調理、食事の準備、ゲームをするなど自分にあった活動を選択できる。これらの場面の多様性は子ども達が参加しやすい状況をつくるとともに、体験の多様性に結びついている。活動には都合がつく限り、不登校児童生徒の親も参加した。親子が共にボランティアに参加する機会となった。親にとって、わが子が多くの子ども達と交わり、ボランティア活動をするという姿を見ることができた。
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