研究概要 |
環境配慮行動の実行に前向きであるにもかかわらず、実際には環境配慮行動に取り組まない人々が少なからず存在することに注目し、ごみ問題の解決の一手段であるリサイクル行動に焦点を当て、態度と行動の間に矛盾を抱える個人におけるリサイクルの不実行のメカニズムを、Diekmann and preisendofer(1998)*の議論を手がかりに検討した。彼らは、個人は態度と行動の矛盾を解消するために、不実行に対する正当化を行うと考えた。そして、合理的行為者の観点から環境配慮行動を観察し、詳細にデータを分析することで、「注意変更戦略」「高コスト戦略」「主観的合理性戦略」という3つの正当化の戦略を引きだした。この分類の利点は、いかなる条件においてどの戦略がよく用いられるのかを同定することによって、効果的な制御要因を探究することができる点である。これらの議論を土台とし、本年度は、仙台市における「ごみ問題とリサイクルに関する仙台市民調査」を企画し、2000年2月12日から14日にかけて実施した。調査対象は仙台市在住の市民で、とくに世帯内で家事を担当している人とした。標本数は1200世帯で、確率比例抽出を用いて抽出した。調査は留置法で行い、回収率は84%となった。現在は、この調査のデータをもとに基本集計を行っている最中である。今後は、Diekmann and Preisendofer(1998)の議論を土台とした仮説を検討していく予定である。 *Diekmann,Andreas,and Peter Preisend of er,1998,"Environmental Behavior:Discrepancies Between Aspirations and Reality,"Rationality and Society,10(1):79-102.
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