研究課題/領域番号 |
10610163
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉見 俊哉 東京大学, 社会情報研究所, 助教授 (40201040)
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研究分担者 |
平田 由美 大阪外国語大学, 文学部, 助教授 (60153326)
土屋 礼子 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (00275504)
木下 直之 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (30292858)
佐藤 健二 東京大学, 人文社会系研究科, 助教授 (50162425)
北原 糸子 北原歴史研究室, 室長
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キーワード | 瓦版 / 錦絵新聞 / 画像データベース / 小野秀雄 / 木版 / ニュース / 民衆 / 情報 |
研究概要 |
本年度は、社会情報研究所が所蔵している瓦版597種(重複を含めると1000枚)と、錦絵新聞275種(重複を含めると約400枚)の画像データベースの作成に主眼を置いて作業を進めた。これらの史料の解読と分析には歴史学の専門的な知識を必要とするため、当該分野の優秀な大学院生を広い範囲から集め、作業チームを組織した。神奈川大学大学院博士課程の富沢達三をチーフとするこのチームに、瓦版に関しては研究分担者の北原糸子が、錦絵新聞に関しては佐藤健二が指示を出し、これら2つのジャンルのコレクションについての画像データベースの骨格部分が完成した。このデータベースは、利用者のアクセスの容易さということを考えてファイルメーカーProを使った書式を用い、原則としてすべての瓦版、錦絵新聞のテクスト部分を解読している。また、新たな分類項目やキーワードだけでなく、たとえば錦絵新聞に関しては、検閲印、版元印、彫師印、大きさ、元の新聞記事との対応関係などの情報を盛り込んでいる。今後、解読文をチェックして細かい誤りを訂正し、レイアウトをもう少し見栄えのいいものに直した上で、今秋に予定されている小野コレクションの展覧会のときにインターネットでの一般公開を開始する予定である,また、こうしたデータベース作成の作業と並行して、幕末・明治期の民衆的なヴィジュアル・コミュニケーションについて、当該分野の専門家を集めた研究会を組織し、ほぼ隔月で研究会を開催してきた。研究会で報告されたテーマとしては、「錦絵新聞の歴史的位置づけ」「ノルマントン号事件と災害情報」「街頭紙芝居と教育紙芝居の歴史」「明治期における漫画概念の変容」「瓦版のなかの船」「小野秀雄と新聞学の誕生」等がある。これらの成果は、データベースや展覧会に役立てる他、いずれ論文集としても出版していきたい。
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