夫婦の親密性を実証的に分析するために、本年度は、理論的整理と、インタビューによるインテンシブな調査を行った。 まず、Cancianの「愛情分析」の枠組み、及び、Hochschildの「感情労働」の枠組みを研究し、実証分析に向けての理論的整理を行った。 インタビュー調査は、うまくいっているカップル(夫婦、及び、恋人)を5組選び、男女双方に対して、個別にインタビューを行った。そこでえられた知見を整理すると、以下のようになる。 (1) うまくいっているカップルは、男性の「感情労働(気を遣ったり、相手にあわせたり、ご機嫌をとったりする)」に支えられている。 (2) 愛情の主観的意味として、男性は機能的に愛情を考え、女性は、コミュニケーションとして愛情を考えるというCancianの枠組みは、おおむね妥当する。 (3) そのため、男性は感情労働を負担と考え、一人になるときに離ラックするという傾向が強い。 (4) セックスに関しては、世代によって回数の違いはあるが、回答者は満足しているが、お互いに「相手は不満に違いない」と思う傾向がある。 (5) 現在、うまくいっていても、婚外の男女関係は、過去に存在したカップルが多い。
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