本年度は、児童相談事例集、各地の児童相談所研究紀要等に掲載された事例および埼玉県児童相談所で処理された児童虐待ケース等の分析を通じて、再措置の状況を明らかにした。この結果、明らかになったのは、重篤なケースでは、過去に児童相談所が関わっていたケースが少なくなく、過去の取り扱い如何によっては、児童虐待の再発が防止しえたケースもある、ということである。 今回の分析では、児童虐待事例を一覧にし、その特徴をわかりやすく示したのち、重要な事例について詳細な検討を試みた。ケースの検討から、措置解除等の場合には、再発防止のために以下の点に留意すべきではないかとの仮説が示された。 (1) 重篤なケースでは、親子分離中の虐待親の心理的・精神的治療が不可欠で あること。 (2) 措置解除による親子再統合の場合、分離中の親への再統合支援(ソーシャ ルワーク)が重要になること。 (3) 親子再統合を試みる際には、再統合後の地域の支援ネットワークを形成し ておく必要があること。 などである。 来年度は、これらの仮説を検証するため、虐待親の心理的・精神的治療の有効性および親子再統合に向けた支援の行われた成功ケースを分析する予定である。
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