文化背景の異なる人とのコミュニケーション行動の現れている「異文化状況」を作成するのが平成10年度の目標であった。そこで、本年度実施した内容と、3月に予定している内容、及び平成11年度の実施内容についてまとめると次のようになる。本年度は、 (1) 日本人とアメリカ人を対象にしたコミュニケーション行動の分析フレームワークに基づき、フレームワークを構成している概念を含んだ「異文化状況」を作成した。 (2) 東アジアの文化では、自己によるのではなく、役割が行動を決定する傾向にあり、この面を考慮するために、職場や学校を離れたあとの人間関係とコミュニケーション行動について北京で調査を実施した。協力校は北京大学であった。対象は学生と一般人であった。補助的に、アメリカにおいても学生を対象にカリフォルニア州立大学で実施した。 (3) 3月には、上記北京とカリフォルニアの調査を分析する。この結果を「異文化状況」の内容及びその範囲に反映させる。 異文化のコミュニケーションにおける相手のコミュニケーション行動の説明及び予測という領域を科学的に分析し、理論的かつ体系的に異文化コミュニケーション行動を説明する。その結果、異文化理解や文化摩擦及び異文化の人間関係の研究に寄与する。そのため平成11年度は次のことをする。 (4) 社会スキルの観点から「異文化状況」を補強する。 (5) 「異文化状況」を修正し、アメリカ、中国、日本において調査する。 (6) 調査データを分析し、報告書を作成する。
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