研究課題/領域番号 |
10610206
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
浜岡 政好 佛教大学, 社会学部, 教授 (80066422)
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研究分担者 |
君島 昌志 島根県立島根女子短期大学, 保育科, 講師 (60290491)
高橋 憲二 島根県立島根女子短期大学, 保育科, 助教授 (80206804)
岡崎 祐司 佛教大学, 社会学部, 助教授 (40257803)
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キーワード | 在宅福祉サービス / 中山間地域 / 公的介護保険 / 地域保健福祉計画 / 在宅福祉サービスの広域化 / 市町村社会福祉協議会 / 子育て支援 / 行政と住民との協働 |
研究概要 |
平成10年7月〜8月に、島根県西部における在宅福祉サービスの実態を調査した。訪問調査したのは、高齢化率が30〜40%に達している邑智郡(桜江町・川本町・邑智町・石見町・瑞穂町・大和村・羽須美村)、那賀郡(三隅町・弥栄村)の各社協である。これらの地域は高齢化が進んでいることもあって、県下では比較的早くから在宅福祉サービスの整備が進められた地域である。今回の在宅福祉サービス調査によって以下のような実態や課題が明らかになった。 第1は、高齢化の進展に伴って在宅福祉サービスをいっそうきめ細かく実施するようになってきていることである。ホームヘルプサービスでは早朝・夜間・休日などでの実施が取り組まれ、またデイサービスのサービス拠点の複数化などが行われている。また基幹サービスを補完するものとして、ミニ・デイサービスやボランティアによる小地域での集いなどが取り組まれている。 第2は、こうした在宅福祉サービスの取り組み強化にもかかわらず、高齢化の進展が介護福祉施設や医療機関へのニーズを一段と高めている、ということである。調査時点ではこれらの町村において特別養護老人ホームや老健施設をもたない町村は桜江町・羽須美村の2町村のみであったが、平成10年度末ではこの2町村でも特別養護老人ホームを建設することになり、邑智郡全町村が介護施設をもつことになった。高齢者の単独世帯や高齢者のみの世帯比率が高くなると、在宅サービスによって生活の継続を支援することがきわめて困難であることを示している。 第3に、平成12年実施の介護保険制度は、この高齢地域でこれまで積み上げられてきた在宅サービスを解体させる危険性をもっている。これまで家族機能や集落機能の低下を在宅保健福祉サービスで補ってきたが、ADL中心で、大都市の市場志向の介護保険は、中山間地域における公共的な在宅保健福祉サービスを根幹から揺さぶっている。
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