研究概要 |
1,前年度に引き続き、最新の新聞記事・統計データの収集・整理を行った。 2,島根県内の高齢者生活の実態、及び高齢社会対策の現況や問題点について、前年度に引き続き、2000年1月に鹿足郡(津和野町・日原町)、同3月に隠岐郡(布施村・五箇村)でヒアリング調査を行った。各自治体とも在宅福祉サービスの充実がはかられつつあるが、さらに介護福祉施設の設置や整備が急速に進んでいる状況である。鹿足郡では2000年4月までに特別養護老人ホームが4町村すべてに設置される。このような状況で、高齢者世帯や高齢者単独世帯の増加も相俟って、介護サービス利用者の二一ズは、介護福祉施設や医療機関へと指向される傾向にある。逆に、すでに始まっている介護保険制度に対し、介護認定漏れとなる利用者への生活支援策、ミニ・デイサービス等の対応施策は自治体により差異がみられた。自治体の独自性を生かした早急な対応策が望まれる。 3,島根県内に限定せず、隣接他県の高齢化率40%超の自治体でも調査を実施した。1999年7月には、高齢化率日本一の自治体を含む山口県の周防大島(大島郡大島町・久賀町・橘町)でヒアリング調査を行い、高齢社会対策の現況について比較検討した。 4,前年度の島根県鹿島町(漁村部)・羽須美村(山村部)に引き続き、同じ調査票による高齢者の生活・意識調査を、1999年9月に松江市(都市部)でも実施、比較検討を行った。その結果、集落の地理的条件や家族構成等によって、住民の意識や行動に大きな差異がみられた。特に福祉・医療サービスに対する意識は、近隣関係、相互扶助機能の強度が同調圧力となってサービス利用に影響を与えており、市町村の福祉行政の取り組みに対する評価もサービス利用に影響を与える一因となっていることかわかった。しかし全体的に公的機関に対する期待はより一層高まりつつあり、福祉サービス利用における世間体やネガティブな意識は弱まりつつある傾向にあるといえる。
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