研究課題/領域番号 |
10610207
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
高橋 伸一 佛教大学, 社会学部, 助教授 (80154821)
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研究分担者 |
吉田 秀和 龍谷大学, 社会学部, 助手 (10298739)
若林 良和 高知大学, 教育学部, 教授 (10201146)
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キーワード | 生活史 / 離職者 / 地域問題 / 生活ネットワーク |
研究概要 |
本研究は、1960年代に展開された石炭産業のスクラップ化、すなわち「エネルギー革命」政策の推進によって大量に発生した炭鉱失業者のキャリアを追跡調査し、失業・離職が労働者とその家族にどのような影響を及ぼすかを実証的に明らかにすることを課題とする。 調査手法は、量的観察と事例分析(生活史)を併用して用いた。また、離職の地域移動を軸に、広域移動グループと非移動グループの2つに分けて調査を実施した。非移動グループの特性を考察するために、旧産炭地域の変容過程を明らかにした。地域の基幹産業である石炭産業の崩壊により、地域社会は経済機能の大部分を喪失した。以来30年以上の年月が経過したが、その傷痕は未だに癒えずに残っている。産業構造の変動が地域社会と人々に与えた影響の重大さを認識すべきであろう。 離職者の生活に関して触れれば、移動グループの生活は、移動直後の経済的困難を克服し比較的安定した退職・年金生活に移行したと言えよう、そのことは収入、住居の面から読み取れる。それに対して、非移動グループの生活は、失業時の条件(中高年、家族構造)もあり経済的には不安定を余儀なくされて今日に至っているといわざるをえない。しかし、日常の人的な繋がり、人間関係の側面から両者を比べれば、移動グループは、30年を経過しても表層的な人間関係を形成するに留まり、孤立・孤独な生活を余儀なくされている。それに対して、非移動グループのそれは、相互援助のネットワークが旧炭住社会と同質のものが維持されている。
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