本年は、昨年行った女性地方議員に対する面接調査を引き続きできうる限り実施し、併せて地域社会の行政資料・データ、新聞記事等の収集につとめることを目標とした。丁度、1999年4月に統一地方選挙が行われ、全国各地で女性議員の増加が伝えられた。また他方で新介護保険法案が多少の紆余曲折を経ながら着々と実施に向けて準備が進む中、マスコミは地方自治体が現場での対応に苦慮する姿を伝えていた。ただ残念ながら本研究は行政サイドの意見を聞くものではない。そこで、できることは、そのような実態を踏まえつつ多少関連質問を入れながら女性議員への面接を進めることであった。さらに統一地方選挙を境に地域政治に変化があるのかどうかについて、鳥取県のある村を引き続き調査したり、岡山県の山村で今も暮らし、地域政治に関する著書を出版している農民作家へのインタビューを試み現在の実態にについて聞き取りを実施した。女性議員に関しては、熊本・北海道・沖縄などで面接した。熊本については別の研究で行ったサーベイ調査の結果を踏まえて面接したが、政策論議よりも、ともかく女性議員を増やすことが先決だという、全国各地に見られる現象をここでもある程度聞くことができた。また特に、北海道と沖縄は自然条件のまったく異なる地域で、この自然が地域政治や福祉政策にどのような影響を及ぼしているのかについて女性議員からいろいろ話を聞くことができ、一般に考えられていること、またわれわれが気づかなかったことなどを発見し比較できたのは大変有意義なことであった。最終年度はまとめの年であるが、サーベイ調査の結果と面接で得られた話しの内容を相補的にとらえ、地域政治の姿を描き出したいと考えている。
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