本年は、これまでの研究をさらに継続し、議員へのインタビュー、自治体の福祉政策ならびに女性政策などに関する資料・文献収集を行った。またこの研究の最終年度にあたるので、過去3年間にわたる調査の全体的なとりまとめも行ない、最終報告書の作成を進めた。 地方議員へのインタビューは予算の都合で数件に止まったが、本年は鳥取県をはじめ女性議員の割合が多い自治体を含む埼玉県と東京都について、その福祉政策や女性政策の概要について資料・文献収集を行った。神奈川県の自治体の中にも女性議員率が高いものがいくつかあるが、これは時間の関係で訪問することができなかった。 このようなインタビューや資料・文献収集と並んで過去3年近くに及んだ本研究のとりまとめを進めた。これまで多くの女性議員や元議員たちとインタビューし、その社会的背景から出馬・当選そして議会活動、中には再選で涙をのんだものなど、いわば彼女たちの政治家としての半生をたどりながら、その中からなぜ女性議員が少ないのか、また少ないなりに当選する女性議員の多くが、なぜ主要な政策の一つに「福祉」、とりわけ「高齢者福祉」を取り上げているのか、といった点を明らかにしようとした。むろんこのような視点は男性議員との比較の上で成り立つのであるが、これについては本研究では直接できないことなので、われわれがかかわった他の調査との比較をもとに行った。その結果、彼女たちの話から、多くはその生活経験から自然な形で「福祉」に関心を向けていることがわかった。このことは当初予想されていたことを裏付ける、ある意味では当然な結果であるが、しかし当然と思われていることであっても、それを実際に当事者たちの口から聞き出し、活字化することができたことでわれわれの当初の目標は十二分に果たせたと考える。この結果は、次の時代に政治の世界へ向かおうとする女性たちにおおきな勇気を与えるであろうと確信する。
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